エキシビションのオープニングパフォーマンスをやらなかった話


日々生きているとパフォーマンスの依頼や演出の依頼をいただきます。
その垣根がとても低いのが今私のいる環境。
嬉しい話が舞い込むことも日常茶飯事です。

昨日、実はある展示会のオープニングでパフォーマンス(演出・出演)をお願いされていました。
テーマを聞き、展示会の内容を聞いて、こんな感じでやろうかな、と連絡し、一昨日の夜いざリハーサル。
展示会の主催の方からパフォーマンスの一部を変更してくれとの指示が。

なんと答えるのが正しいでしょうか。
私はいち出演者、パフォーマーとしてあなたの演出で出演するのはまだ良いけれど、もし私の作品として今から変えて何かをやるというのは時間がなさすぎるし、演出を変更した作品を私の作品として発表するのは嫌だ。と答えました。

・変更して私はいち出演者としてただパフォーマンスをする
・今から演出を全て変えて作り直す
・もうやらない
・ゴリ押しでこのままやる

私たちが出した答えは”やらない”でした。
主催者は違うパフォーマーに依頼し直し、自分で演出をつける形になりました。

私の作品がオープニングにそぐわなかった理由はいくつかあって、それはどれも納得のいくものでした。
私の作品が結構刺激の強いものだったので、私の作品を見た後に、展示を見て、その感情に引っ張られたり、解釈に影響が出たりすることを危惧したということでした。

私は時にアーティストのこういう”わがまま”は大切だと思っています。
自分の作品を変更するのが嫌だ、というのも私の”わがまま”。
プロだったら、大人だったら、どうするのが正解でしょうか。
「演出は私に任せるという契約だったでしょ?」
とつめることもできました。
だけど、私は彼の”それでも、自分の作品に影響を及ぼされるのは嫌だ。”というアーティストとしての”わがまま”を尊重したいと思ったのです。
同時に、それなら、私も自分の作品を安売りはできない。其の場凌ぎに作り直すことはできないという”わがまま”を通しました。

私はピアニストとダンサーを別に呼んでいたので、リハーサルにきてもらっておいて申し訳ないな、と言う気持ちはありましたが。
結局みんなアートに命をかけてやっている者同士なので全部理解して「なら、やめよう!」と言う結論に至りました。凄くシンプルに。

翌日、オープニングの設営に私も顔を出して、頑張ってね〜と声をかけ、カクテルを飲みながらぼんやり設営を眺めました。

もちろん、問題点は沢山あったと思います。
この設営を見ていたら違うアイディアも浮かんだし、最悪、前日寝ないで考えたら5分くらいのパフォーマンスはできたかもしれません。(両者が納得するような)
だけど、今回はやらないっていう選択をしました。

呼んでいた出演者が「せんすの作品だから来た」と言ってくれたのが何よりの救いでした。「他の演出だったらやらない。」と。

全然違う視点から見たら、意地の張り合いのように見えたかもしれません。
だけど、私たちはアートに命をかけていて、現場が許すのなら、やらない、と言う結論も出します。本当に、自然に。

もちろん、絶対無理!な現場もあります。
私はこうしたいのに…、私のアートはこうなのに…!ということもあります。多くの人や多くのお金、企業、スポンサーが絡めば絡むほど苦しくなります。
その中で、どうやって風穴を開けて、頑張るかが勝負の時もあります。
された仕打ちは作品の中でしか返せない!そんな精神で折れそうになりながら作る作品もあります。
がんじがらめでどこにも味方がいない気持ちになることが多々あります。

そんなことを経験していた(る)からこそ、昨日、一昨日の出来事は、ある意味凄く潔くて嬉しかったです。
アートは誰のもの?
この一言に尽きます。
展示会はある種セッションなんだから、私のピースがそのにハマることで何か面白い化学反応が起こったかもしれません。
だけど、それによる影響はもちろんあります。それを危惧したのであれば最終リハーサルでやめにしようという決断はあり、だと思います。

それに私は今回のことで”TIME”という自分の作品を作ることができたし、きっとそれはいつかどこかで日の目をみることができると思います。その日まで温める作品もあっていいと思います。

何が正解か。
そんなの誰にもわからないし、それぞれの正解がると思います。
一昔前の私なら何があってもshow must go onだったけど、ここ数年で、「ならやめよう!」という選択もするようになってきました。
またこれから変わっていくかも知れません。

だけど、はっきり言って、こうやってアーティスト同士がぶつかり合える時間は貴重です。
当たり前だけど演出家と出演者との立場とは違います。
プロデューサーと演出家とも違います。
舞台という大きな組織の中で、人と人が縦て繋がりあっている現場にいる私は時に全てを打ち明けられず悔しかったり申し訳なかったりするわけです。
そうじゃないと成り立たない興行があるので、理解しているし、それも私にとっては大切です。

だけど、展示するアーティストと、パフォーマンスを演出するアーティスト同士の会話。
久しぶりに真っ直ぐに戦った夜だったので、語弊を恐れずに言うなら楽しかったです。

シュワっといこうぜ〜〜


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